はやぽん(@はやぽん)です。
今回は私が第一回目の復職訓練に失敗し、その後に通い始めた職場復帰プログラム(リワークプログラム)に参加し、自分の長所を見出しながら適応障害の抑うつのどん底から這い上がっていったその過程を紹介しています。現在、休職や再就職でうまくいかずに困っている方の参考になればとても嬉しいです。
今なら分かる、復職できなかった理由
医師からの指示通りに薬を飲み、規則正しい生活をし、毎日運動もし、復職する準備は整った!!と自信をつけた上で臨んだのですが、わずか3日で失敗!!これにはこれまでの努力が全て無駄になった気持ちになりかなり落ち込みました。
なぜ3日で挫折したのか・・・
1.1日でも早く社会復帰しなければならないと焦っていた
自分が家で休養している間も同僚や上司は頑張って働いている。
うつの症状を発症して会社から離脱してしまった自分はなんて弱くて情けないんだ。
1日でも早く社会復帰しないとこのまま社会から取り残されちゃうんじゃないだろうか。
働くことができない自分なんて社会のお荷物だ
と必要以上に自分を責め、勝手に自分を追い込んでいました。復職を焦るあまりに自分の気持ちと身体の状態を冷静に判断して療養することが出来なくなってしまっていました。焦りから「もう大丈夫です」と何度も医師に伝えていました。心の専門家の精神科の主治医でも、わずかな診察時間では私の深い心情や心の動きまでは判断が難しかったのだと思います。
私は自分自身の気持ちを正しく相手に伝えることが困難で、自分のことを相談したり、弱音を吐くことがとても苦手です。口に出して相手に伝えること、相談することが上手にできないです。人に話したりすることで自分自身の理解を深められるということがのちのち実感として分かってきましたが、この時は大丈夫なんだと言い聞かせてばかりいたのだ思います。
2.ストレスの原因分析・対処方法の確立ができていなかった
自分が休職する原因となったストレスが何かを分析し、その原因に対する対策を全くすることなく体調が戻ってきたという理由だけの甘い見通しのまま復職訓練を初めてしまいました。適応障害とは何らかのストレスが原因となって発症する病気です。復職するためには自分がどんなストレスに弱くて、そのストレスにどうやって対処するかの適応障害の再発防止対策ができていませんでした。焦って原因分析もせず、対策もせず復職しようとすると私のように3日で挫折することになってしまいます。
職場復帰プログラム(リワークプログラム)に通うことになる
1回目の復職訓練失敗について主治医に相談すると・・・
ストレスの原因と対処方法がまだ不十分だったことと復職への焦りがあったんだと思います。
はーちゃんさんは生活リズムも整えて体力も戻ってきたんで休職当初よりだいぶ状態がいいようですが、
もう少しストレスへの対処方法を固めてから復職に臨んだほうが良さそうですね。
ちょうどうちのクリニックで休職した人が職場復帰するために通う職場復帰プログラム(リワークプログラム)というのを始めたばかりなんですが、それに参加してみて、復職に向けて動きだしてみませんか
と提案があり、自分自身も参加してみたいと少し考えていたところだったので、リワークプログラムに参加して再出発することになりました。
私は職場復帰プログラムに休職してから約一年後の2019年の10月から2021年の8月まで約2年間通いました。※復帰後の今も相談したいことがあるときや休みが取れた時は通っています。今でも先生やリワークの先生(精神保健福祉士の資格を持つ、クリニックの相談スタッフ)をとても頼りにしています。
私は2018年の9月に前よりも業務量の多い部署に転勤し、わずか2か月後の11月に適応障害を発症し休職しました。休職までについては「私が休職になるまでの経緯」をお読みください。
入社してからそれまでは他の人よりはミスや失敗は多いものの、大きな挫折を経験したことがなく仕事に対してもやりがいを持ってこれました。転勤して以来、業務量が増えたことで書類の不備や期限を忘れる等のミスが一気に増加し、出勤する度に先輩から
普通は失敗しても次は気を付けようとしたらこんなにミスは繰り返さない!
仕事に対して甘い気持ちや人に頼り切りだからいつまでも仕事ができないんだ!
と毎日、毎日怒られるようになり徐々に仕事への意欲や元気がなくなっていきました。夜寝るのが怖くなり、出勤中の電車が、毎日怖くて仕方ない気持ちでいっぱいでした。
毎日怒られ続け・・・・
今までは仕事ができてたのに、なぜ???
転勤してから毎日ミスばかりでいくら気を付けても全く改善しない
先輩がいう通りに自分は本当に人に甘えてばかりでダメな人間なんじゃないか
自分はここにいていい人間じゃない、消えてしまいたい
どうせ自分なんて・・
毎日頭に浮かんでくるのはこんな言葉ばかり、先輩からの言葉からここまで連想して自分を追い込んでしまっていました。マイナスな思考以外はなにも考えられないほど自分を追い込んで他の人の意見や考えを受け入れられなくなってしまったのでした。
このようなマイナスな評価を自分にしてしまう私が変わるきっかけとなったのが、リワークプログラムへの参加でした。私のように発達障害のある人がうつ病や適応障害の治療のために休職した場合は、自分一人の力だけで職場復帰することはとても難しいです。私の通っていたリワークでもうつ病や適応障害で休職し、復職を目指す人が多くいました。なかなか復職できない人の中に私と同じく発達障害の診断を受けた参加者もいて、その人も復職ができないことでかなり悩んでいました。皆さん、口を揃えて言っていたのは休職して療養を続けていると徐々に体調が安定してきます。
そうすると、
いつまでも職場に迷惑をかけられない。
1日も早く復職しなければ・・・
と気持ちが焦り出してきます。私も同じ気持ちでした。体調と生活リズムが安定しても日常生活を送れるレベルと復職して仕事をこなせるレベルとでは大きな差があります。私が復職を失敗した要因の1つは、自分の身体と心の状態を客観的に判断する事が出来なかったからです。さらに私は自分の状態を冷静に見ることがとても苦手です。リワークでは実際の職場に近い環境でストレスへの対処方法を習得し、再発しないように自信とスキルを身に着けて、復職するために医療職のスタッフが一人一人の体調を客観的に判断してくれました。主治医との診察は週1回、5分から10分程度ですが、リワークは週4回、10時〜16時までです。診察よりも長い時間、接することで精神保健福祉士の資格を持つ、クリニックの相談スタッフ(以下リワークの先生と呼ばせていただきます)はひとりひとりの状態をよりよく把握することができます。ここが大きいです!
職場復帰プログラム(リワークプログラム)とは
リワークプログラムとは、私が休職する原因となった適応障害やうつ病などの精神疾患によって休職や退職をした人に対して職場復帰、社会復帰のために提供されるリハビリプログラムのことです。
職場復帰支援プログラムや復職支援プログラムとも言われますが、今後は便宜上「リワーク」と呼ばせて頂きます。
リワークには病院で行う「医療リワーク」、地域障害者職業センターが行う「職業リハビリテーション」各企業が独自に行う「職場リワーク」の3つの種類があります。
主にこれら3つの機関でリワークを受ける事が出来ますが、プログラムの内容や対象となる人や費用もそれぞれで異なります。
私は各病院で行っている「医療リワーク」受けて復職しましたので、この記事では「医療リワーク」について紹介させて頂きます。
※私が紹介するのは「医療リワーク」で実施しているプログラムの一例ですので、実施している医療機関によって内容や対象者も変わってきますので、あらかじめご了承下さい。
リワークプログラムとはうつ病や適応障害等の人の復職をスムーズにし、再休職を防止するためのプログラムのことです。私は過去2回も復職を断念した経験があるので学んだことですが、職場復帰しようとした時に、症状が改善しただけでは復帰が難しかったり、私のようにすぐに再休職する場合もあります。※2回目の復職断念(1回目の原因とは異なり、パワハラが原因)については今後、記事にしたいと思います。
復職を成功するためには生活リズムを整えて、体力や気力を回復させていく必要があります。また、私のような発達障害を抱えている場合だと特に、休職に至るまでの過程で職場内の人間関係がうまくいかずにストレスを溜め込み過ぎたりします。また劣等感や自己不全感等のネガティブな思考が強すぎてそれが元で一旦休職してしまうと、復職することへの恐怖感やトラウマで復職がうまくいかない場合もあります。
私は職場の人間関係がとても怖くて1回目の職場復帰訓練の時も職場の人のそっけない態度や無視などの態度や言動等で、休職した時の光景が頭の中にこみ上げてきて、わずか3日で復職を断念してしまいました。
認知行動療法を取り入れたリワークプログラム
対人関係のストレス分析と対処
私の通っていたリワークでは私のような発達障害を持つ人だけではなく、うつ病や双極性障害、パニック障害、等の方も通っていてみんなそれぞれの病気や障害と闘いながらも復職という目標を目指して真剣に通っていたので私自身も大変励まされました。ここでは辛いのは自分一人じゃない、みんなそれぞれ立場や抱えている病気や家庭環境、仕事は違うけど一つの目標を目指して一緒に頑張っていると思うと自然と活力が沸いてきました。
リワークでは集団の中で上手に他の人と関わっていくためのコミュニケーションスキル(sst「社会生活技能訓練」)を身に着けていくのですが、これが本当にためになりました。
私のように発達障害があると、コミュニケーションに何らかの課題を抱えている場合が多く、それが仕事上の対人関係で壁となり適応障害やうつ病等を発症しやすいのではないかなと思っています。私は自分が信頼している人・自分を理解してくれている人に対しては、すらすらと言いたいことも伝えられるのに、自分のことを理解してくれていない人だなぁと感じている人に対して言葉が思うように出てこないことが多々あります。これによって相手に誤解され、職場での人間関係が悪化したりします。本当に損しているよなぁと思います。言いたいことさえ言葉として出てくればいいだけなのに、出てこないんです。
私が通っていたリワークでは復職後につまづきそうな場面を想定して、上司と部下などの役を割り振り、寸劇をします。
寸劇の担当者以外の人間は、演じていた役の人間の態度や言葉遣いなどの観察をします。寸劇終了後、言葉遣いや上司役の人間への接し方はどうだったか、その時の気持ちはどうだったのかを『役を演じていた人』と『観察者同士』で振り返り、最後にリワークの先生が総括してくれます。
今まで取り組んできた場面としては
- 復職当日の挨拶
- 飲み会の誘いを相手の機嫌を損ねずに断ること
- 復職時の上司や産業医との面談
- 休職していた理由を上司に説明する時
- 上司にほうれんそう(報告・相談・連絡)するとき
などがありました。
飲み会の誘いをスマートに断る役の人(会社で上位の成績を上げている営業職のリワーク参加者)の態度や言葉遣いなどを観察者として感想や意見を言ったり、自分の演技をその人たちに評価してもらったりしました。練習とはいえ、緊張もしましたが、こういった練習によって「独自の人間関係対処マニュアル」を作ることができるようになってきました。また、この訓練を重ねる事で、復職後に同様のケースに遭遇しても落ち着いて対処する事ができるようになり、復職後も適応障害の再発を心配することなく仕事ができるようになりました。
考え方や感じ方のクセや歪みを自覚して修正する
私のように発達障害の特性を持っていると独自のこだわりやマイルールのある人が多く、仕事でその特性が強く出てしまうと「協調性がない」とか「指示や命令を聞かない空気の読めない人」というマイナスの評価を受けやすく、それがきっかけでうつ病や適応障害等の二次障害を発症してしまったりするのではないかと思っています。
私は発達障害の特性により、物事の捉え方や受け止め方が、普通の人よりも歪んでいるのではないかと思っています。同じ出来事でも歪んた捉え方をするることで、イライラしたり、感情を爆発させたり、悲しくなったりとネガティブなものになることを「認知の歪み」と言います。
認知の歪みの例
感情的決めつけ
好き・嫌い・不快などの自分の感情によって物事を判断することです。
このラーメン、美味しくなかった。このラーメン美味しいと言っている人はみんな嘘つきだ。
など、客観的な証拠や基準が何もないのに、自分の感情を根拠に決めつけてしまうことです。
心の色眼鏡(フィルター)
良くない出来事、マイナスな事だけに注目してしまい、良い出来事があってもそれをスルーしてしまう考え方のクセの事です。
例)旅行に行った時、レンタカーを運転していたら、スピード違反で違反切符を切られた。それ以外の観光や食事などすべて楽しかったのに・・
あの旅行最悪だったわ・・・。
過度の一般化
たった一回の出来事だけで全てを決めつける考えのクセです。
例)仕事で一回ミスをしただけで
自分はいつも失敗ばかりで能力がない
と決めつける
拡大解釈と過少評価
自分の失敗や短所などのマイナスとなることは必要以上に捉える一方で、成功体験や長所などはつまらないもの、満足できないものと極端に小さく評価してしまう考え方のクセです。
例)テストで95点を取ったのに、
なんで100点取れなかったんだろう。95点しか取れなかったのは自分の努力が足りなかったんだ
と自己否定したりします。
マイナス思考(プラスの出来事に対してマイナス思考になる)
良い出来事を良いと考えられなくなり、すべてマイナスに置き換えてしまうような思考のクセです。
例)うつで家から出ることができなかったのに、やっと外に出れた。そして散歩することができた。なのに・・・
1時間歩いたら疲れてしまった。こんなことで疲れている自分が嫌になった。
普通の人でも1時間歩いたら疲れますし、うつの人が散歩に出ることができたのはすごい前進です。なのにこのようにマイナスに置き換えてしまうのです。
0か100思考(白黒思考、べき思考)
物事をすべて「すべき」「すべきでない」の二択で考えてしまう考え方のクセです。完璧主義で思考に柔軟性がないので些細な事でストレスを蓄積しやすいです。この考えに囚われてしまうと辛い事や苦しい事も頑張りすぎてしまいがちです。例えば、下記のように絶対〇〇と考えてしまいます。
- 絶対にミスをするべきでない
- 時間は絶対に厳守するべき
- 常に家の中は綺麗に片付けるべき
先読みの誤り
だれにも予想できるはずのない未来を勝手に決めつけてしまう考え方のクセです。
今までずっと不幸だったからこの先もずっと不幸に違いない
私はずっと孤独だったからこの先もずっと孤独に違いない
と不幸な未来を自分で想像してネガティブな気持ちになってしまいます。
上に挙げてきた認知の歪みのパターンは一例ですが、こういった考え方のクセは誰にでも持っているものです。しかし、私は発達障害の特性を持っているが故に、他の人以上に認知が歪んでいて、ストレスに対しても耐性が弱く、それがきっかけで休職へとなってしまったのではないかなと思っています。
認知の歪みについても「対人関係のストレス分析と対処」と同様に寸劇が行われました。
第三者から日頃の私が仕事でどのようなミスをし、どのような勤務態度なのか、復職後を想定した寸劇で演じるので、とても恥ずかしい気持ちではありました。しかし、自分一人では観察することのできない自分の心情や態度等を参加者やリワークの先生などから客観的に見てもらえました。そして改善のアドバイスをもらう取り組みを継続して実践することで、徐々に自分の心情や態度を第三者的な視点で考えることができるようになってきました。私はリワークに通うようになってから、生活リズムの立て直しと、なぜ休職してしまったのかの原因分析と再発防止対策、対人問題の解決を徹底的に取り組んだことで復職を果たすことができました。
最後に
発達障害特性を持つ私にとって相手の態度や言動から相手の心情や気分を読み取ることはすごく苦手な作業です。
しかし、発達障害を持つ私でもこの訓練によって苦手な人間の傾向、認知の歪みで困りやすい状況を場合分けして自分独自の行動マニュアルを作ることができるようになり、考え方のクセや認知の歪みで気分の波が出る頻度やレベルはかなりコントロールできるようになってきました。
休職して一人で、もしくは家族だけの限られた人間関係の中だけでは自分の心情や気分を冷静・客観的に考える事はとても難しかったと思います。孤独な状態でメンタルの悩みと闘っている方は一度リワーク施設等のご利用も考えてみてはいかかでしょうか?
人それぞれ病気や障害を受け入れるまでの期間や抱えている悩みも違いますが、一人で考えて悩むよりも自分の理解者、支援者が多い方が社会復帰は早くなります。
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